UNITED DX UNITED

劇的に成果を上げる!セールス&マーケティングのDXとは?

ウェビナー報告

WEB商談が普及し、アポイントの取り方からプレゼン、クロージングまで、マーケティングや営業のやり方は大きく変化しました。また、リモートワークの難点として、営業担当者間の情報共有や、若手のスキル向上を課題と感じている経営者・営業責任者の方は多いのではないでしょうか。
今回は、DX戦略立案を支援するユナイテッドと、900社を超える企業の顧客体験DXに取り組んできたKaizen Platformが、昨今のセールス&マーケティングのトレンドや、実践的なDXの方法をお話しします。

登壇者プロフィール

<株式会社Kaizen Platform 代表取締役 須藤 憲司 氏>
2003年に早稲田大学を卒業後、リクルートに入社。同社のマーケティング部門、新規事業開発部門を経て、リクルートマーケティングパートナーズ執行役員として活躍。その後、2013年にKaizen Platformを米国で創業。現在は日米2拠点で事業を展開。企業の顧客体験DXを支援する「UX」「動画」「DX」の3つのソリューションを提供。著書:「ハック思考〜最短最速で世界が変わる方法論〜」 (NewsPicks Book)、「90日で成果をだす DX(デジタルトランスフォーメーション)入門」(日本経済新聞出版社)

<ユナイテッド株式会社 執行役員 事業戦略担当 米田 吉宏>
慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストン コンサルティング グループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

セールス&マーケティング領域のDXの好事例は?

米田 吉宏(以下、米田):まずセールス&マーケティング領域のDXの好事例についてお聞かせください。

須藤 憲司(以下、須藤):Kaizen Platformとして、このコロナ禍で多くの発注をいただいているのはペーパーレス化の依頼です。とくに、いろいろなものを動画にしたいというニーズが大きいです。いままで紙で作っていたものが使い物にならなくなってきています。具体的にはチラシ、パンフレット、ポスター、営業資料、ガイドブック、カタログ、マニュアル、研修、イベント、プレスリリース、IR 、口コミインタビューといったものです。これらを動画にしたい、というお問い合わせが非常に増えています。

クライアントのお話はしづらいため、まず自社のお話ですが、私たちは営業資料を動画にしています。トップ営業マンの営業プレゼンをiPhoneで撮影をしていて、自分たちで編集をし、3分くらいの動画を作成しています。かなりたくさんの数を作っており、各動画の更新も5回ほどはしています。この動画は1万回以上は再生されているので、編集で20万円~30万円位かかっていても、1再生で20〜30円です。これはカラーコピーよりも安価に営業を行うことができるというわけです。

動画活用のメリットは大きく3つあります。1点目は情報量が多いこと。2点目は、アウトプットの標準化です。新人の営業マンでもトップ営業マンのプレゼン動画を活用することで高品質な営業をすぐに行うことができます。3点目はデータが把握ができることです。

たとえば、アポの前にメールでこの動画を送ることで営業の内容が明確になり、決裁者の出席率が40%向上していることなどが分かります。また、社内稟議などにも動画は活用されており、社内稟議システムに動画のURLを載せておくことで、PDFの資料よりもわかりやすいと多くの方が閲覧していることなども分かります。

また、コロナ禍の影響でアウトバウンドではなく、インバウンド中心に営業していく重要性が高まったと感じています。例えば、私たちはプレスリリースも動画にしています。これを、SNS上で発信すると、エンゲージメントが高まりました。実際、動画での発信から毎月週百件の問い合わせが来ました。また、営業の現場で獲得したデータを活用し、どのようなホワイトペーパーを作成するか決定を行いました。さらに、それらのコンテンツや動画を使った非対面営業ツール「KAIZEN SALES」を開発しました。これは自社でも使っており、商談化率も向上しています。

また、動画の別の活用方法として、ヒアリングでも活用しています。データの活用により、うまい営業マンは、単純にヒアリングするのではなく、顧客に危機感を認識させながらヒアリングをしている事がわかりました。そのため、動画にアンケート機能を付けました。この機能により、顧客に対してアラートをしながら、ニーズの引き上げを行えます。実際に導入したNTT東日本では、商談化率が3.5倍になりました。

動画だと、メールで簡単に送れることもメリットです。大量かつ同時にアプローチすることができます。例えば、5万人にメールを送って20%が開封してもらえれば、1万人にアプローチすることができます。1万人のアポを取るのは非常に大変なので、ものすごい効率だと言えます。それを見て頂いてご興味頂けた方と商談しますので、お客様も効率的です。30分や1時間をアポで潰すより、1~3分の動画を見て頂いた方がはるかに楽です。

米田:おっしゃるとおり、動画での営業は印象的ですし、トップ営業マンのトークが平準化されるのは素晴らしいですね。これまでセールス&マーケティングでの動画活用事例を伺いましたが、他の用途で動画が活用されているシーンはあるのですか?

須藤:営業以外で使われているのは大きく2つあります。
1つ目はカスタマーサポート/カスタマーサクセスです。動画でデモ画面を映しながら説明ができる動画は需要があります。特にSaaS系の企業では、お客様に設定をしていただく場面が多々ありす。そういった際のオンボード資料に活用いただいてます。
2つ目は製品の取扱説明書です。私たちの分析によると、取扱説明書を買う前に見る人が50%ほどいる事がわかっています。動画になっていることで機能のイメージがわかりやすく、UXの確認が行えます。例えばキャンプ用品だと、組み立て方などが非常にわかりやすくなり、購買につながっています。売り込もうというアウトバウンドから、買い手が情報を探すインバウンドに顧客の購買行動が変化してきていると言えます。

米田:ありがとうございます。ここで、弊社での事例もご紹介いたします。弊社のお客様でもオウンドメディアの導入ニーズは増えています。もともとオウンドメディアは存在していました。しかし、オウンドメディアと営業との接続が効果的に実行できている企業は少ないです。顧客がオウンドメディアのどこを見ているかといったデータから、顧客のニーズに合った商材を推測して営業とのつながりを高めることで、オウンドメディアのインパクトの最大化をすることが可能です。

他の事例として、お客様の声を可視化し、営業活動の改善を行うこともインパクトが大きいと感じています。営業マンの営業行動に対してフィードバックをもらい、PDCAを回すといった取り組みを行った事例があります。営業マンの方の中でも、お客様に貢献したいという意義を持って働いている方は多いと思います。お客様の声を参考にして営業行動を改善しようという働きかけは営業マンに対して説得力があるように感じます。

この1-2年の変化、トレンドは?

米田:次に、このこの1-2年のセールス&マーケティングの変化やトレンドについてお伺いします。

須藤:関連した2つの変化があると思います。1つ目は顧客との最初の接点を作ることが難しくなっていること、2つ目はCRMの重要性が高まっていることです。

1点目については、例えば最近ではこういったウェビナーが当たり前になっています。また対面営業が減り、名刺の配布枚数が減りました。このように、対面で人と合う機会が減り、新しい人と合うコストが大きくなっています。これにより、顧客との最初の接点をどのように作るべきかを考えることは非常に重要です。

これに伴って、2点目の接点を持っていた顧客といかに関係性を構築するかが重要になっていています。いままでは、とりあえず送っているだけの正直つまらないメルマガがいっぱい来てました。しかし、最近は読み手に読んでもらうための工夫している企業が多い印象があります。営業でのニーズも変化しています。ある調査データでは、「売り手は対面」、「買い手は非対面」を求めていることが分かりました。それによって、買い手が対面営業を断れるようもなってきています。営業において、対面でなくてもできること、逆に対面でないとできないことがある中で、いかに会ってもらえるような強いコンテンツを武器として持つことができるかが重要な論点になっていると思います。

米田:お客様に会ってもらえるようにするためにも、プロダクトコアやパーパス、社会貢献といった部分を磨きあげることも必要になってくると感じます。

よくあるアンチパターン・壁は?

米田:続いて、セールス&マーケティングの領域を変化させていこうとする中で、衝突する壁やアンチパターンについてお聞かせください。

須藤:大きく3つあると考えています。

1つ目はインサイドセールス=アポ取りの人、だと捉えている企業が多いことです。営業をインサイドセールスとフィールドセールスに分けたいというお客様が多いものの、コロナ禍によってフィールドセールスがインサイドセールスになったとも言えると思います。今はアポ取りをたくさんしてただ商品を売り込むのではなく、適切な情報提供や情報収集をできるかが重要になっています。昔に比べてお客さんが非常に賢くなっていて、ネットで多くの情報を集めています。とにかくアポを取って営業するのではなく、顧客の情報をきちんと収集し、適切なコミュニケーションを取ることが現代の営業では重要です。これを理解してない現場の営業マンが多くいると、営業のDXは行いづらいと思います。

2つ目はSFAに関する問題です。会社としては営業を管理したいがためにSFAを導入したいと思っている企業は増えています。しかし、現場では、なぜSFAをいれるのか理解していません。入力作業等がめんどくさいですし、管理されたくないと思っている人が多いのが現状です。企業がSFA導入を目的化してしまっていることも多いので、あくまで営業を管理するための手段であると認識していないと、管理側も現場も不幸になることが多く見受けられます。

3つ目は少し難しい話ですが、組織風土の問題です。全社としてさまざまな組織が顧客と接点を持ち、チームとして商品やサービスを売っていく必要があります。しかし、営業マンが、顧客と接点と持つのは自分だけで良いじゃないかといったテリトリーや社内政治を意識していると、営業体制の変化が起こしづらいと感じます。

米田:組織風土に関して、花形営業が称賛されているような企業だと、「個人個人での営業スタイルは磨いていくんだ」といった風土があるように感じます。こういった企業では動画の導入などは難しいのかなと感じました。

須藤:たしかに、それはあると思います。そういった企業はプロダクトセールスではなく、広告代理店やSIerといったすり合わせ型商品をセールスする企業が多いと思います。リードの引き上げなどで殺し文句を動画で訴求するといった使い方はできますが、クロージングなどで動画はあわないと思います。逆に、プロダクトセールスは動画が適しています。むしろ、動画での営業の方が通常の営業よりも良いと思っています。デジタルマーケティングのように動画自体も修練されていくものです。型にはめていく営業プロセスは、動画によってパフォーマンスが上がってくと感じています。

米田:ありがとうございます。こういった壁を乗り越えて、営業体制の変化を図るためのTipsがあれば教えてください。

須藤:まず、効率的な営業のポイントについてお話します。高単価商品(自動車、金融商品、不動産、BtoBなど)は必ず人がクロージングしています。その中では、営業マンの出来不出来の差が非常に大きいのが実態です。その理由を分析すると、差は2つ。1つ目は使っている言葉、ワーディングがかなり違います。お客さんがわかりやすい言葉を使っています。ワーディングとは、その業界でよく使われている言葉を自分自身できちんと理解した上で、顧客が正確に理解できる言葉でしゃべることです。意思決定するタイミングで、顧客がなぜ今意思決定をしなければいけないのかを、営業マン目線ではなく顧客目線で話すことができるかが重要です。2つ目はお客さんとのコミュニケーションのタイミングや頻度です。よく、「営業は量だ」といいますが、量だけでは成果は上がりません。お客さんが求めているタイミングや頻度でコミュニケーションを取ることが需要です。

このポイントを抑えた効率的な営業を全社的に実行するためには、営業のDX化が必要不可欠です。しかし、全社的に営業体制を変えることが難しいので、まずは小さな部署から試してみると良いと思います。そこでうまくいった、とても良いと感じた場合には横展開してみると勧めやすいと思います。

DXを推進するうえでのポイントは?

米田:最後に、セールス&マーケティングのDXを推進する上でのポイントを教えてください。

須藤:DXを推進しようという「意志」が重要だと思います。クライアントの中でも、DX推進部とDXを導入する現場が別なことは多いです。お金を出すスポンサー的な立場から、トップダウン的にDX推進を行うのではなく、現場がDX推進を実行する意志を自分事として持つことがポイントだと考えています。そのためには、現場がDX推進に対してやる気になる社内構造になっているかが重要な点になります。

米田:上からDXを言われたけど、何をしたら良いかわからない、といったご相談を受ける機会は多いです。
逆に、営業などのフロントサイドでDXの重要性を感じていることもあると思います。その場合には、コーポレート側や事業部の説得が難しいとお聞きします。その際には、DX推進を「目的」と「効果」で説得することが効果的だと感じています。また、お客様の声を取り上げて、DX推進によってお客様の悩みを払拭できるんだといった方向性で説得していくことも良いと思います。

本日は貴重なお話をありがとうございました。