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田端信太郎と考えるニューノーマル時代のDX

ウェビナー報告

今回は、ユナイテッド株式会社が主催したウェビナー「田端信太郎と考えるニューノーマル時代のDX」のレポートをお届けします。ゲストには、オンラインサロン 田端大学 塾長 田端信太郎氏を迎え、当社からは執行役員 事業戦略担当 米田吉宏が登壇しました。

田端信太郎氏(以下、田端):最初に率直に申し上げておきたいのですが、DXという言葉自体は正直どうでも良いと思っています。企業の経済活動をデジタルを使ってどうやって再定義するのかという議論は、正直20年以上前から長らくテーマになっています。
コロナウイルスが流行しているからと慌ててDX化しなくてはならないと思っている方がいたら遅いです。もしも「今からDXやらなきゃ」と思っているなら、遅すぎると認識して、危機感を持っていただきたいです。

【オンラインサロン 田端大学 塾長 田端 信太郎氏】
慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ。フリーマガジン「R25」を立ち上げる。2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。2010年からコンデナスト・デジタルでVOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。2012年NHN JAPAN(現LINE)執行役員に就任。その後株式会社ZOZO、コミュニケーションデザイン室長に就任。2019年12月退任。複数のスタートアップでコミュニケーション戦略やコミュニティ運営に関して顧問を務める。

田端さんが考える日本のDX推進成功事例

DXにおけるとても優秀な事例があるので紹介します。
コマツ産機株式会社という、ショベルカー等の重機のメーカーの例です。以前から、国外へビジネスを広げており、B2Bにおいて日本を代表するグローバル企業です。このコマツが展開している「KOMTRAX」というシステムは、世界中の機械の稼働状況をインターネットで把握するシステムです。
20年以上前にコマツのショベルカーを使った犯罪が多発し、防止のために全部の重機にGPSをつけて監視できるようにしたのが「KOMTRAX」の始まりです。
海外の工事現場で「KOMTRAX」を導入してから、機械の動き方を監視できるようになり、適正に重機が使われているかを把握できるようになりました。また稼働状況が把握できるおかげで、事前にメンテナンスが必要な際に声をかけることができるので、スピード感や信頼性の向上に繋がりました。
これらが、コマツの全体の生産プロセスやアフターサービスのプロセスまで含めて、デジタルの活用で事業が大きく変わった事例です。

ここで1つ問題になったのが、「KOMTRAX」を導入してから本社とクライアント間で状況が把握できるようになり、会社とクライアントの間に入っていたディーラーの必要性が問われるようになったということです。結果的に、間に挟まれたディーラーを解雇するという苦渋の決断をして今のコマツの姿になっています。
こういった成功事例の裏には、気合や覚悟といったものがあって初めてここまで成功したということを忘れてはいけません。

コロナ禍での生き残るための戦略

「自社が何を提供している会社なのか」を本質的に考えることが、生き残っていくために必要な思考だと思います。
例えば、航空業界は今、非常に厳しい状態になっています。コロナウイルスが流行る以前は、航空業界の競合が鉄道会社ではなく、まさか「ZOOM」のようなビデオ会議になろうとは夢にも思わなかったでしょう。「ZOOM」の登場により出張に行かなくて済むようになったからです。
みなさんの会社でも、自社の価値を時代に合わせてどのように提供し続けるかといったことに向き合うべきだと思っています。例えば、シェフが一等地に店を構えたり、美容師さんが一等地で働くことによって付加価値を見出すことは全く本質ではありません。素晴らしい料理やヘアスタイルをお客様に届けることが本質なのではないかと思います。コロナを受けて出張シェフや出張美容師をしている方は本質的です。目的が手段になってはいけないと思います。

DXを推進する際に陥りやすい困難とその乗り越え方

はっきり申します。
嫌われる覚悟がないようなDX推進は「DXごっこ」だと思います。
例えば、「銀行でデジタル化が進めば、支店はいらないですよね」「ファーストフード店だったらモバイルオーダーができるから販売員はいらないですよね」などを指摘することができないDX推進担当者は成功しないですね。
既存の社内の序列の雇用やポスト、レポートラインなどに対して、お客さん目線で考えた際に必要性を問うことができないとDX推進はできないと思っています。

参加者からのQ&A

推進リーダーに必要なマインドセットとは

米田吉宏(以下、米田):推進リーダーはどのようなモチベーションであるべきであると考えますか。
私の経験からすると、なかなか言いづらいことをトップに突き上げる姿勢が大事だなと思っています。他には幅広い部署と関わって、部署横断でDXのプロジェクトが走っていく時に、”WHAT”と”WHY”を追い続けるマインドセットは推進リーダーには求められるかと思います。

田端:マインドセットでいうと、いわゆるDX推進というのは「このままだと会社が倒産するぞ」という危機感のなかで、企業再建してやるぞと思うことが正しいマインドセットであると思います。
それくらいの覚悟があれば嫌われてもいいって思いますよね。それで言うと、「ターンアラウンドwithデジタル」なんだと思います。それくらいの危機感でやらないと成功しないと思いますね。

米田:アメリカだと社長が変わるとガラッと会社が変わりますが、日本だとなかなかそうもいきません。会社を突き動かすには、実は外部の活用も一つの方法です。企業再生におけるコンサルティングプロジェクトでは、クライアントの社長に経営指示の箇条書きを提示して、全く同じように進めてくださいという形を取ることもあります。田端さんのお話にあったように、DXにおいてトップとしっかり方向性を握ることは劇的に会社を変えるための1つのソリューションなのかなと思いました。

<ユナイテッド株式会社 執行役員 米田 吉宏>
慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストン コンサルティング グループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

企業のこれからの情報発信方法

米田:企業がこれから情報発信をしていくなかで、注目されるようなプラットフォームであったり、ツールはありますでしょうか。

田端:ツール自体はびっくりするようなものは無いと思いますね。
大事なのは、メッセージは何を言うよりか、誰がなぜそれを言っているかが重要であると思います。そのメッセージにどれぐらいの情熱をもって伝えているかも重要で、拡散度合いに比例していると思います。オウンドメディアがどうこうよりも、発信するメッセージに心の底から共感できているかが大事だと思います。

今後の代理店の活路は

米田:DXで代理店が不要になったという例をお話されていましたが、代理店は今後どのような領域で活路を見出していけば良いでしょうか。

田端:良い質問ですね。販売代理店は販売ではなく、アフターサービスの主体となっていくことが良いと思います。代理店の方には「売る」というよりも、「売った後」に一緒にプラットフォーマーと歩んでいくところが、今後ぜひやっていただきたいところです。アフターケアをどうやっていくか考えることが活路になると思います。

米田:これまでですと代理店さんは営業機能が大事でしたが、そこから求められるスキルや人材も変わっていくので、どういう風に変化を実現していくかが重要だと思います。
参加者の皆様、ご質問ありがとうございました。田端さんも端的なご回答ありがとうございました。