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アメリカ・中国の最先端DX事例

ウェビナー報告

今回は、ユナイテッド株式会社が主催したウェビナー「アメリカ・中国の最先端DX事例」のレポートをお届けします。ゲストには、ジャンシン(匠新)グループの創業者 総代表 田中年一氏、Incubate Fund US GP, L.L.C. Founder and General Partnerの野津一樹氏を迎え、当社からは執行役員 事業戦略担当 米田吉宏が登壇しました。


中国、アメリカにおけるDXの定義

米田:まず、中国、アメリカにおいて、デジタルトランスフォーメーション(以降、DX)はどのように捉えられていますか。

田中:日本ではデジタルに詳しくない高齢者の方々を気にして、なかなか行政サービスなどのデジタル化が進んでいない印象があります。
中国では、強制的に浸透させるような国の方針なので、さまざまなデジタルサービスが結果として高齢者の方も利用できるようになっているのが現状です。

野津:アメリカではそもそも、DXを取り入れるかどうかの議論がされていません。なぜかというと、アメリカではデジタルを取り入れることは当たり前のことになっているからです。DXをやるかやらないかではなくみんなやることという認識なので、自然と生活のなかに浸透していると思います。

米田:日本ではDXというバズワードが一人歩きしてしまっている印象ですね。野津さんがおっしゃっているようにデジタルは内包して統合していかないといけないなかで、中国やアメリカは日本より進んでいるように思いました。
では、具体的に事例を見ていきましょう。初めに中国のDX事例をご紹介いただけますか。

中国のDX事例

田中:アメリカのメガテック「GAFA」(Google, Amazon, Facebook, Apple)の競合にあたるのが、中国のメガテック「BATH」(Baidu, Alibaba, Tencent, Huawei)です。

【ジャンシン(匠新)グループ 創業者 総代表 田中 年一】
Hewlett Packard社でITエンジニアを経験後、デロイトグループ傘下の監査法人トーマツにおいて会計士として活躍。2015年に、日本のベンチャー企業が中国に事業展開して成功するためのサポートをする「ジャンシン(匠新)」を創業。また日本の事業会社と中国のスタートアップとでのイノベーションや新規事業への取り組みも支援し、幅広いサービスを展開。

例えば、 Alibaba(以降、アリババ)は、Eコマース企業として世界で認知されていますが、そこから派生したさまざまなサービスを展開することによってさらに拡大を続けています。またその技術によって、建設業界にDXを起こす「スマート建築」のITインフラを提供し、建設業界に大きな影響を与えています。
またTencent(以降、テンセント)は、ソーシャルプラットフォームですが、その技術とサービスを発展させて生活サービスプラットフォームとして進化を遂げています。メッセージングツールの「Wechat」では、簡単にミニアプリを制作できるサービスを提供し、さまざまな企業がマーケティングに活用しています。今までは消費者にインターネットで商品を販売するには大手のECプラットフォームを利用する必要がありましたが、このサービスによりD2Cモデルが加速していきました。
中国はこれらのプラットフォームサービスのテック技術も用いて、さらにDX化を推進していくと思われます。

アリババやテンセントが目指す今後の展望とは

田中:彼らが目指しているのは、オンラインとオフラインをパッケージ化したプラットフォームを提供し、そこに集まったユーザー情報を活用して、さらに事業を拡大していく世界ではないかなと思います。

米田:アリババはいわゆるスーパーアプリ(※1)が着目されていますが、日本企業でもスーパーアプリを提供する試みがあると思います。その進め方において、中国と日本の違いは何ですか。
(※1)プラットフォームとなるアプリ内に、さまざまな機能をもつアプリを統合し、日常生活のありとあらゆる場面で活用シーンをもつ統合的なスマートフォンのアプリ

田中:アリババやテンセントを例にとると、さまざまなサービスが統合されスーパーアプリとして存在しています。先にスーパーアプリを作って、そこからユーザーを集めることは難しいことです。ユーザーの基盤があるところにサービスを集め拡大していくものなので、そのまま同じやり方を日本に適用することは難しいと思います。

米田:ありがとうございます。続いて、アメリカのDX事情に関しても教えてください。

DXを成功させるための組織マインド

野津:日本は他の先進国に比べデジタル化が遅れています。DX推進において重要な組織の課題について、アメリカとの比較を用いてお話しします。
まず経営側に関してアメリカは、自らがイノベーションを起こしていく姿勢の経営者が多いです。日本ですと、経営者が最新の技術への理解が低く、新規事業立案がしづらいですが、アメリカでは理解がある方が多いと思います。最新の技術に触れ、デジタル化することによって何ができるようになるかをしっかり理解することから始めるといいかと思います。
現場側では、新規事業プロジェクトを推進していくために、どのプロジェクトにも2~3人は意欲のあるメンバーを置くことが大事です。実際その新規事業を採用してもらうためには、経営者の経営方針に沿って、自分の考えとつなげて立案すると採用されやすいかと思います。

【Incubate Fund US GP, L.L.C. Founder and General Partner 野津 一樹】
2004年京都大学卒業後、株式会社電通に入社。30ヶ国以上の海外展開に関するマーケティング戦略・実施、ビジネス開発に従事。ボストンコンサルティンググループにてメディア、ヘルスケア等のさまざまな業種の前に全社戦略、新規事業開発等のコンサルティングに携わる。 2012年グーグル合同会社に入社。2019年、Incubate Fund USを立ち上げ、B2B関連のシード投資を米国を拠点に行っている。

日本のデジタル化が遅れている要因と対策

米田:ありがとうございます。お二人にお伺いしたいのですが、どのようなことが要因で日本はデジタル化が遅れているのか、改善を促す施策についてのお考えがありましたら教えていただけますでしょうか。

田中:大きく2つの理由があるかと思います。
1つ目は、日本の選挙制度ではデジタルに弱い高齢者に配慮した政策とならざるを得ず、一方で中国は良くも悪くも共産党の一党独裁であり、政策に強制力と実行力がありデジタル化を進めるにあたっては有利であると思います。
もう1つは、日本は失敗に対してあまり寛容ではないという印象があります。日本の企業が初めは失敗に寛容な中国でトライをして、上手く行ったら日本に持ち込むというやり方もできるかなと思っています。

野津:3つの理由があるかと思っています。
1つ目は、日本は若い人が活躍しにくい社会だと感じています。中国やアメリカは若い人が決裁権を持っている場合が多いので、若い方に権限を与えてもいいかなと思います。
2つ目は、人材を文系理系で分けるような考え方はよくないと思っています。アメリカの教育ではコンピューターサイエンスを全員が学ぶ環境です。日本でもプログラムもビジネスも両方できる人材の育成が必要であると思っています。
最後に、発展したテクノロジーで何ができるようになるかを理解できていない人が日本には多いと思っています。日本企業は、技術を持つ外部パートナーと連携していくことで、よりデジタル化が進んでいくと思いますね。

米田:本日は有意義なお時間をありがとうございました。