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DX時代の新規事業アイデア創出の仕方

ウェビナー報告

今回は、ユナイテッド株式会社が主催したウェビナー「DX時代の新規事業アイデア創出の仕方」のレポートをお届けします。ゲストには、株式会社ビザスク執行役員 CEO室室長 兼 lite事業部事業部長 宮崎 雄氏を迎え、当社からは執行役員 事業戦略担当 米田 吉宏が登壇しました。

米田 吉宏(以下、米田):まず、ビザスクのサービスをご紹介いただき、新規事業創出の際のポイントを教えていただけますか。

宮崎 雄(以下、宮崎):ビザスクはビジネス領域に特化したナレッジプラットフォームです。個人の知見とその知見を求める企業を1時間からのスポットコンサルでマッチングするサービスを主軸に運営しております。様々な業界業務の経験者にアドバイザーとしてご登録いただいておりますので、企業からの幅広い依頼に対応することが可能です。

【株式会社ビザスク 執行役員 CEO室室長 兼 lite事業部事業部長 宮崎 雄氏】
2006年にリクルートHRマーケティング(現リクルートジョブズ)に新卒で入社後、営業・新規事業開発などを経て、リクルートホールディングス、リクルートジョブズの経営企画部門の責任者として従事。2019年3月よりCEO室長としてビザスクへ参画。2019年12月からは、ビザスクlite事業部の事業部長を兼務。

実現可能性の高い新規事業を創出するには

宮崎:新規事業の立ち上げにおいて一番の失敗要因は「マーケットにニーズがない」ことです。
成功したスタートアップは、課題を発見し、どのように解決するかを考えていますが、失敗したスタートアップは、課題の発見よりもどのようなプロダクトにするかを検証してしまっているところが大きな違いになります。新規事業を立ち上げる際に一番重要なのは、そのサービスが誰の何の課題を解決するかをどれくらい細かい粒度で考えられるかです。
私が在籍していたリクルートの例でいいますと、学習アプリの「スタディサプリ」が新規事業として立ち上がりました。
まず、ターゲットは、「地方在住の大学受験生」「世帯年収が400万円未満」と設定し、課題は、「低価格の受験対策予備校が近くにない」と設定しました。
このターゲットを絞るために、実際に数百人の受験生にインタビューをし課題をヒアリングし、サービスに落とし込みました。圧倒的な顧客理解があったからこそ、成功したと言えるでしょう。
実は、「ステディサプリ」の立案者は、提案する前に予備校の先生をスカウトし、予備校を辞めてもらってからサービスを提案しています。やはり、顧客接点と課題の把握が出来ており、サービスが成功する確信があったからこそ、このような決断ができたのだと思います。

新規事業を立ち上げる際の仮説検証と一次情報のヒアリング

宮崎:また新規事業で大切なことは、プロダクトを作る前に、仮説を立てたうえで、徹底的に一次情報をヒアリングすることだと思っています。具体例としまして大手家電メーカーの例を挙げます。
その企業は、新規事業立案の際に「意思決定者を説得できなかった」という課題を持っていらっしゃいました。それに対して、ビザスクを利用し新規事業に関連する方にインタビューをし、その一次情報を根拠として新規事業のプレゼンに盛り込んだところ、事業案は次のステップに進みました。このように、投資の意思決定の判断材料として、ビザスクを利用していただくことも出来ます。

米田:世の中の企業は、上記の家電メーカーように、一次情報へ十分にアプローチしていますか?

宮崎:定量的なデータを集めるというところですと、行っている企業は多いと思います。ただ、そこに加えて、説明したような定性情報を取りに行くところに関しては、できていない企業は多々あるかと思っています。

米田:同感です。情報収集のために実際に現場まで行って、検証を具体化していくことが新規事業企画において重要だと思うのですが、行っている方は少ない印象ですね。

宮崎:ビザスクのインタビューは、明確なアウトプットが必ずしも出るものではないので、インタビューで何を得るかを明確にしづらいことが、利用する際の壁になるのかなと思っています。

米田:新規事業開発における進め方のメソッドはありますが、必ずしもそれに則れば成功するわけではないです。メソッドの型にはめただけでは経営者や上司に理解されない場合もあります。それを解消していくことが、新規事業開発のファーストステップになると思いますね。

宮崎:リクルートにいた時の新規事業担当者が、マーケットや課題感を理解するために一ヵ月の休暇を取って飲食店でアルバイトをしていました。それくらい深ぼって調査すると説得力もありますし、社内に提案を通すだけではなく、サービスをよくするためにも大事なのかなと思いますね。

真の一次情報を得るためには

米田:また参加者の方から、「真の一次情報を提供いただけるエキスパートの正しい選定方法はあるか」とご質問をいただいておりますので、私から回答します。
インタビューをする相手の選定方法は、数値をファクトとして選定しています。例えば、何件営業を取ってきたなど、経験数を図るために数値で選定することが大事だと思います。
私からも、新規事業を開発する上での、具体的な手法の例を紹介できればと思います。
真の一次情報を得るためには、「誰に聞くか」と「どのように聞くか」という、二つのポイントがあると思います。どのように聞けば良いのか、宮崎さんにコツを聞いてみたいと思います。

宮崎:知りたい情報を直接取りに行く際に、インタビューをする方の一日の仕事の流れであったり、業務プロセスで何が起こっているかというファクトを正しく収集することが大事だと思います。相手の主観を聞きに行くと、真の一次情報にならない場合が多いためです。米田さんはどのようにインタビューされていましたか。

米田:その人の解釈なのかファクトなのかということは非常に意識をしています。話し方のなかから、主観の際にはなぜそう思うかを聞いたり、自分たちの仮説と異なった場合は、自分のたちの考えをもとに質問してどれくらいファクトに基づいているものなのかを選抜する意識をしています。

新規事業開発に活きる、リサーチの極意 

米田:リサーチを進めるうえで重要なことを3つ紹介したいと思います。
1つ目に何事も定量的に捉えることが大事だと思っています。どれくらいの市場規模、売上が見込めるのかを数値を持って把握することが大切です。
2つ目に、新規事業の構想を具体的に可視化するということです。解像度が低いものに関しては、徹底的にヒアリングを行い、実際に自分で体験して調査をすることで、理解を深めることが必要です。
最後に、あらゆる情報ソースをあたってみるということです。世の中のトレンドを調べることが大事です。私であればニュースアプリやSNS、エキスパートへのインタビューを活用しています。
しっかりと市場とユーザーを理解して、仮説を進化させ、サービスをブラッシュアップすることで成功確率は上がるので、以上の3点を参考にしていただければと思います。

<ユナイテッド株式会社 執行役員 事業戦略担当 米田 吉宏>
慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストン コンサルティング グループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

新規事業開発の担当者のあるべき姿

米田:ここまで、新規事業を開発するの際のポイントをご紹介してきました。次は、新規事業開発における組織の作り方について、アドバイスがあれば教えていただけますか。

宮崎:開発初期は、少人数で既存事業から離れて推進していくことが良いと思います。ただ徹底的に既存事業から切り離してしまうと、中途半端な新規事業になってしまう可能性があります。既存事業と新規事業をどうマージしてスケールアップしていくかがポイントになると思います。ですので、新規事業担当者と既存事業の担当者が連動して動いていくことが大事です。
担当者個人としてはどのようなマインドセットで臨めばいいと思われますか?

米田:担当者には、その事業を絶対成功させたいというマインドセットがすごく重要だと思っています。行動して周りを巻き込むことができる人や、推進力のある人の方が新規事業を立ち上げる際に必要だと思っています。

新規事業を始める際の撤退ルール

米田:最後に新規事業を始める際に、リクルートさんでは撤退ルールは決めていましたか。

宮崎:決める場合と決めない場合がありましたね。会社としてその事業を成功させるぞという思い入れが強いものに関しては、想定から多少時間軸がずれているとしても、何度も軌道修正をする機会を設ける場合がありました。

米田:そうですね。明確に撤退ルールを設けていたとしても、より長期的な経営判断で例外を作ることがあり得ると思います。判断にあたっては、その新規事業が今後伸びる可能性がどの程度あるのか、立ち上げ時に既に得た成果は何か、課題は何かの読み解きが論点になるでしょう。
事業開発のポイントは、解像度高く顧客のニーズをくみ取り、市場動向を理解したうえで、提供価値やビジネスモデルを構築することです。今回のウェビナーが、皆様の新規事業推進の参考になることを願っています。