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成功したベンチャー企業から学ぶDX

ウェビナー報告

今回は、ユナイテッド株式会社が主催したウェビナー「成功したベンチャー企業から学ぶDX」のレポートをお届けします。ゲストには、株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮慎一氏、株式会社メルカリ 取締役会長 小泉文明氏を迎え、当社からは執行役員 米田 吉宏が登壇しました。

米田 吉宏(以下、米田):DXという言葉が昨今非常によく使われるようになりました。DX推進にはいくつかカギとなる要素があります。本日はその真髄をディスカッションできればと思います。
まずは、私米田から、DXのカギとなる要素について提示したいと思います。

<ユナイテッド株式会社 執行役員 事業戦略担当 米田 吉宏>
慶應義塾大学経済学部卒業後、 2010年株式会社電通入社。2013年ボストン コンサルティング グループ入社後、主に通信・メディア・テクノロジー領域の経営戦略策定、新規事業開発、営業戦略、組織戦略等を担当。プロジェクトリーダーとして従事した後、2019年3月ユナイテッド株式会社執行役員に就任(現任)。DXソリューションの立案/推進と、全社戦略/組織強化を担当。

DXプロジェクトにおける4つの困難とその解決策

DXプロジェクトにおける困難は、DXプロジェクトを行う前、途中段階、後のそれぞれにあると考えており、それらを4つに分け対応策も含めお話しできればと思います。

①実行の意志決定が遅れる/できない

特に大企業において、発生する困難であると思います。
DXプロジェクトを推進するにあたって、顧客や経営陣など様々なステークホルダーと関わると思いますが、そのなかで優先順位をつけることが大事です。
「本当に実現したいこと」の優先順位をつけ、ROIが合っているか検討し、やるべきことの意志決定を行うべきだと考えています。

②推進メンバーのモチベーション、コンディションが悪化する

DX推進プロジェクトには様々なバックグラウンドを持った方々が協働することが多いと思います。そのなかで自身の考えを振りかざし続けても、チームとして機能しなくなってしまいます。メンバーそれぞれをリスペクトして、それぞれが一番力を発揮できる環境を作りながらプロジェクトを推進することが大事です。
マネジメントをする際には、1人で全てを行うのではなくチームごとにハブになる方々をおいてどのように推進していくか作戦を練ることが必要だと考えます。

③プロジェクト推進メンバーのスキル/ケイパビリティが足りない

DX推進には広範囲に及ぶスキルが必要とされます。結果として、必要な能力が足りないことが多々起こりうると思います。目的・戦略・KPIはもちろん、コミュニケーションやマネジメント、プロセスの設計など様々なスキル・知識が求められます。
自社内でそのようなスキルがまかないきれない場合には、外部パートナーに協力を得ながらDXを進めていくことも必要です。

④構築したものの定着しない/効果が発揮されない
リリースしたことに満足して誰も使わないサービスになっていることは少なくありません。
都度何が課題かを考えて、PDCAサイクルを回し、理想形に近づけていくのが大事です。実際に得られたもので、理想形をアップデートしていくことが「サービス・プロダクト・社内構築」に大事な観点であると考えています。

三者によるパネルディスカッション

DXをどのように定義しているか

米田:本題に入る前にお二方がDXをどのように定義されているか、ご教示いただけけますでしょうか。

小泉 文明(以下、小泉):働き方も業務も全般的に全てのフォーマットをアップデートする必要があるなかで、どのようにデジタルを取り入れていくかということだと思います。競争優位性のためにデジタルをどう取り入れていくかということはいつも考えていますね。

<株式会社メルカリ 取締役会長 小泉 文明 氏>
早稲田大学商学部卒業後、大和証券SMBCにてミクシィやDeNAなどのネット企業のIPOを担当。2006年よりミクシィにジョインし、取締役執行役員CFOとしてコーポレート部門全体を統轄する。2012年に退任後はいくつかのスタートアップを支援し、2013年12月株式会社メルカリに参画。2014年3月取締役就任、2017年4月取締役社長兼COO就任、2019年9月取締役President (会長)就任。2019年8月より株式会社鹿島アントラーズ・エフ・シー代表取締役社長兼任。

高宮:DXって最近出てきたバズワードですが、これって前からベンチャー企業や古い業界の変革として言われてきていることで、新しい技術を取り入れようということだと思っています。
ある企業が競合優位性を強化するためにうまく新しいテクノロジーを取り込むためにどうしたらいいかというのが、DXだと解釈しています。
今回コロナの影響で、強制的にDXが浸透せざるを得なかった状況だと思います。

DX推進の落とし穴

高宮 慎一(以下、高宮):あるあるの落とし穴としては、トップが現場に、「なんかやれ」といって、現場は具体的に何をしていいかわからないままで、DX推進をしてしまうことだと思います。
企業を成長をさせるなかでDXはあくまで手段になるので、トップの明確な戦略性と、コミット力が大事だと思っています。

米田:そうですね、リーダー自身がやることを明確化することは重要です。トップが何を実現したくてそれをやるべきかを明らかにすることもそうですし、DX推進リーダーがトップにやるべきことを言語化した上で、プロジェクトをスタートさせると良いと思いました。

高宮:やはり決めることが定まっていないと、外部の人と連携して進めて行く場合、振り回してしまうことがあるので、そこは気を付けたいところですね。

<株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ 代表パートナー 高宮 慎一 氏>
戦略コンサルティング会社アーサー・D・リトルにて、プロジェクト・リーダーとしてITサービス企業に対する事業戦略、新規事業戦略、イノベーション戦略立案などを主導した後、2008年9月グロービス・キャピタル・パートナーズ入社。2012年7月同社パートナー就任。2013年1月同社パートナーおよび最高戦略責任者(CSO)就任。2019年1月代表パートナー就任、現在に至る。東京大学経済学部卒、ハーバード大学経営大学院MBA修了。投資先には、アイスタイル、オークファン、カヤック、ピクスタ、メルカリ、ランサーズ、しまうまプリントシステム、ナナピ、タイマーズ、クービック、リブルー、ミラティブ、ファストドクター、グラシアなどがある。

コーポレートDX推進で気を付けていることは

小泉:従業員のパフォーマンスをどうあげるかは重要で、そのなかでも2回同じことをしていたら「自動化・仕組み化」できないかと考えています。
経営者の意図でシステムを作ることは大事にしていますね。人事制度など、会社にとって一番大事なものは自分たちで持っている必要があると思っているので、コーポレートチームにエンジニアチームがいることは特徴だと思っています。
また、大企業とベンチャーのDX事例を一つ紹介します。メルカリ便では、ヤマト運輸さんとの仕組みを組み合わせた配送方法があります。実はこの仕組み、最初ヤマト運輸さんも自社にその技術を使っておらず、そもそも担当の方はその技術があることを知らなかったんです。私は前職の経験からたまたまその技術があるだろうと思い聞いたところ、やはり持っていまして、今回上手く組み合わせられることなったんですが、そもそも自社の技術や強み、リソースを理解できていないことはあるあるだと思います。大企業のアセットをアセスメントすることも重要だと思いますね。

DXを磨きこみ続けるコツ

米田:DXを推進してもそのシステムが使われなくなってしまうこともあります。磨きこみ、世の中に価値を提供するために大事なことを教えていただきたいです。

小泉:前提として、難しいものは受け入れられないというのがあると思います。代表の山田がよく言ってるのが「ひとつ機能を足すなら、ひとつ減らせ」ということです。複雑化することで人はどんどんついていけなくなってしまうので、何か技術を足す際は慎重になることが必要ですね。

高宮:何が会社のコアになるのか理解することは大事ですよね。今やっていることを単純に外部連携や外部サービスでリプレースすればいいという訳ではなく、将来からの逆引きで、戦略から落とし込んで、この業務は自社の競争優位になるから内製で磨き込み続ける、この業務はコモディティだから外部調達するという判断が必要ですね。

小泉:例えば、買収した鹿島アントラーズは紙をすべて廃止し、システム化しコモディティされたプロダクトを導入しています。やはり最初は社員も戸惑うんですが、結局便利だなと感じて受け入れてくれるので、恐れずに実行していくのが良いと思います。

DX推進に求められる人材要件

米田:お二人が考える、DX推進に求められる人材要件がありましたら教えてください。

小泉:会社の中で複数部署またがって業務をしてきた方や、吸収力のある方が良いのかなと考えます。また、やはり自社で完結するのは難しいので、外部パートナーに発注し、そこから何を学べるのか意識して協働すると、1、2年で社員も育つのではないかなと思います。

高宮:私は起業型人材が必要だと思っています。実際の起業の経験が必要ということではなく、当たり前を疑い、変革を生み出していけるような人材が必要なのだと思います。場合によっては、ルーチーンを守ろうとする組織の慣性が立ちふさがるかもしれませんが、それをぶち破るマインドが必要だと思います。

米田:周りに働きかけられる人材であるというのは私も同意です。会社の業績や将来性を作っていくことへのコミットメントが高くないと、プロジェクトの遂行は難しいと思います。知識やスキルは、外部のパートナーとご一緒するうちに身につくと思いますが、たとえ少々失敗しても会社のために乗り越えていこうと思える人が推進すべきだと思います。

まとめ

米田:最後に今回のウェビナーのまとめとして、お二人からDX推進において大事なことをお聞かせください。

小泉:今後どの企業も、テクノロジーを活用しないと競争優位性を確保できないというフェーズに入ってきていると思います。どのテクノロジーを使って最初はどこから手をつければ良いのかという戦略が重要です。たとえ文系出身者でも最低限の技術を学び続けていくことが大事だと思います。 

高宮:私はいつもDXやオープンイノベーションの話になるとKDDIの話をします。KDDIの何がすごいかと言うと、やはりトップのコミットメントの強さと、先にGiveしていればいつかは戻ってくるという長期目線のスタンスです。
スタートアップ向けのカンファレンスなどでは、常々「スタートアップの皆さんはKDDIのことは考えないで下さい。いかにKDDIを使って皆さんが成長することを考えてください」とおっしゃっています。とは言え、現場のDX推進のリーダーとしては、トップがまだあったまっていない時は、どうトップのコミットメントを引き出したらいいのだ、ということだと思います。その時は、コンサルなどの外部のパートナーや競合、他業界事例を紹介するなど、外部をうまくつかって自社のトップをあっためていくのだと思います。
DX推進では、より競争優位性や売上のインパクトを残すために長期目線でコミットメントすることが大事だと思いますね。

米田:本日は有意義なお時間をありがとうございました。